2024年 3月15日 10:00~17:00
に実施しました。
次回は 2024年9月19日の予定です。
リモートでは受講数日前にテキストの入手とエクセルツールがダウンロードできます。
対面の場合は、当日のテキスト配布となります。インターネットアクセス可能なノートパソコン(エクセル使用可能)の携帯を推奨します。
概要
金融工学・ファイナンス理論は運用業務のベースとして広く使われていますが、一般的にわかりにくい印象をもたれています。本講義では、金融工学を基礎の基礎から実際の運用へ到るロードマップを示した上で、確率・統計が苦手な方にも直感的に理解できるように、エクセル・スプレッドシートのデモによりわかりやすく説明します。
特に、マルチファクターモデルについて、本格的な学習用モデルを通じ、動作原理から利用方法に到るまで詳細に紹介します。講義で用いたツール類はダウンロードできますので、後日の復習に活用できます。運用業務に直接関わる方の他、ミドル部門や商品企画、マーケティング部門の方にもお勧めできるプログラムです。
シラバス
Session 1 金融工学への導入としての確率・統計
- 1. 導入 ~ リターンとリスク
- リターンの不確実性とは ~ 不確実な資産価値の変化をどう捉えるか
- リスクをどうやって定量的に表すか ~ リターンの2乗平均の意味
- リスクの大きさと資産変動 ~ 標準偏差の大きさによる違いをシミュレーション
- 2. リターンの確率分布とリスクの関係 ~ ランダムの中の規則性
- リターンの分布 ~ グラフにすると分かりやすい
- リスクと確率分布 ~ リスクを定量化するとはどういうことか?
- リターンの確率分布の比較 ~ TOPIXと国債インデックスの違いを数値で表す
- 確率分布の特徴 ~ 性質をおおまかに特徴づける
- 正規分布の性質を理解する ~ ポートフォリオのリスクも個別銘柄と同様
- リターンの正規分布仮定 ~ 確率変動の扱いを楽にする
- 3. リスク推定方法 ~ 理屈より目的
- 実際の資産のリターン分布と性質 ~ 標準偏差だけでは計測できないリスクの存在
- 分散・共分散の推定方法 ~ オプションのIV or ヒストリカルデータ
- 実用的なリスク推定方法 ~ 単純法と指数減衰法
- 4. 相関係数と回帰分析 ~ ポートフォリオ理論への導入
- 2つの確率変数 ~ 株式の日次リターンを確率変数と考える
- 相関係数 ~ 確率変数の動きから相関関係を捉える
- 回帰分析 ~ 標準偏差を等しくする
Session 2 ファイナンス理論と実務の接点
- 1. ポートフォリオ理論 ~ よい投資とは何なのか
- ポートフォリオ理論の基本的な考え方 ~ ポートフォリオの期待リターンとは?
- ポートフォリオのリスク ~ 3資産で効率的フロンティアを描くとどうなる?
- ロボアドバイザーの裏側 ~ 基本原理は極めてシンプル?
- 2. アクティブ ~ ウェイト・リターン・リスク
- アクティブ運用とパッシブ運用 ~ ファンドマネジャーは何をコントロールしているのか
- ウェイトとリスク・リターン ~ アクティブウェイトとベンチマークウェイト
- アクティブリスク(トラッキングエラー)の推定 ~ 原理はトータルリスク推定と同じ
Session 3 ファクターモデルの活用
- 1. ファクターモデル ~ リターン相関の構造
- ファクターモデルの位置付けと考え方 ~ 複数の銘柄を共通に動かす要因を探る
- なぜ銘柄間に相関があるのか
- ファクターモデルと共通要因 ~ 銘柄間の相関構造を明らかにする
- ファクターモデルの構造と用途 ~ どんな時に利用するのか
- ファクターモデルと銘柄情報
- 情報の集約 ~ ファクターモデルは大量の情報を集約するための有用なツール
- ファクターモデルによる分析例 ~ リスクインデックス・エクスポージャー
- 2. シングルファクターモデル ~ マーケットが相関の源
- β(ベータ)の求め方 ~ β値の特性を理解する
- シングルファクターモデルと銘柄間相関 ~ ファクターに対するβ値から相関を求める
- 期待リターンとリスク ~ 銘柄のリターンとリスクはどこからくるのか?
- リターンとリスクを分解する仕組み ~ リターンもリスクもファクターモデルで分解できる
- シングルファクターモデルの活用と応用範囲
- 2銘柄で考えよう ~ 個別銘柄の具体例と各種数値の前提
- β(ベータ)の合成
- ポートフォリオのリターン分解とリスク分解 ⇒ アクティブリターン・リスク分解
- シングルファクターモデルとアクティブ運用
- アクティブポートフォリオ構築(Excelによる最適化デモ)
- 3. マルチファクターモデル ~ 複数の相関の源
- マルチファクターモデルの基本構造 ~ モデル形式と銘柄相関
- ファンダメンタルズベータ ~ マルチファクターモデルからの計算方法
- 実務で多く使われるモデル ~ Barraのスタイルファクターと業種ファクター
- 感応度先決め型(1)~ ファクターリターンとファクター感応度
- 感応度先決め型(2)~ ファクター標準化とファクター共分散
- 感応度先決め型(3)~ スペシフィックリスク推定モデル
- マルチファクターモデルの活用 ~ 理論から実務へ
- トータル分解とアクティブ分解
- アクティブリターン分解とアクティブリスク分解
- ファクターモデルによるアクティブリスク計算 ~ ポートフォリオのリスクは計算で求まる
- マルチファクターモデルとアクティブ運用(学習用ツールを用いたデモ)~ マトリョーシカ
- アクティブエクスポージャー ~ アクティブ感応度を変化させる
- ポートフォリオの設計(Plan)⇒ 最適化とアクティブリスク分解(Do)⇒ ポートフォリオのチェック(See)~ アクティブリターンの要因分解
Session 4 アルファの獲得とクオンツ運用
- 1. クオンツ運用 ~ 一番わかりやすい運用
- ポートフォリオ構築プロセスの全体像
- アノマリー ~ 存在理由を知ることによる効果的な活用
- アルファの合成 ~ アノマリーをアルファへ変換する
- アルファ構築の流れ ~ AI運用?
- クオンツファンド ~ 決められている条件と決めるべき条件
- ポートフォリオ構築へ ~ 取るべきリスクと取ってはいけないリスク
- ポートフォリオ最適化とシミュレーション ~ 幻想ではなく現実を見るために
- 2. インフラ ~ 大変です
- データベースの構築と求められるもの
- 考慮すべき点 ~ 高速性と網羅性と正確性のトレードオフ
- 社内分析環境 ~ 原データ → クリーニングデータ → 加工データ → ツール
- 各種ツール ~ 目的別に要求されること