市場(マーケット)リスクプレミアムとは

市場リスクを負うことによって得られるリスクフリーレートに対する超過リターンの期待値です。
一般的には年間5~6%前後とされており、グローバルや長期的に観測できる先進国で測定したヒストリカル平均はこの近辺の値となります。
また、企業収益と株価から求められる市場平均の企業価値から逆算したリスクプレミアムも、ヒストリカル法と同等程度の値となります。
ただし、最近の超低金利をそのままリスクフリーレートとして用いると、資本コストは過少に評価される可能性もあります。
CAPM法で個別銘柄の株式資本コストを算出する際の重要な推定値です。
定義
  市場リスクプレミアム = 株式市場リターンの期待値 ー リスクフリーレート

市場リスクプレミアムの代表的な推定手法

  • ヒストリカル法・・・過去の株式市場リターンから推定
  • インプライド法・・・市場価格から逆算
  • サーベイ法  ・・・投資家や研究者からアンケート

ヒストリカル法によるリスクプレミアム推定の考え方

ヒストリカル法とは、市場の過去の長期的なリターンからリスクプレミアムを推定する手法です。実際に市場が過去に投資家に提供してきたプレミアムの平均的な値のことです。
市場リスクプレミアムは理論的に求められる値ではありません。投資家がリスクに対してどれだけリターンを要求するかを実証分析から求めます。
市場リスクプレミアムの平均値が安定的であり時間の経過に対して変化しないならば、長期的な計測によって統計的に正しい推定値が得られます。

ヒストリカル法による推定値を用いる際の注意点

市場指数や計算期間などによって、推定値は大きく変わります。そのため、得られた数値を盲目的に用いるべきではありません。
・市場の構造的な変化等によって、過去とは異なる市場リスクプレミアムとなっている可能性
・先進国でも構成業種の偏りや市場占有率の高い銘柄の存在
・サバイバーシップ(生き残り)バイアスなどによる過大評価
・統計的な推定誤差
  10年の観測で6%、50年の観測で3%程度の標準誤差

2022年末の日本市場のヒストリカルリスクプレミアム

それぞれの開始年から2022年末までの日本の株式市場ヒストリカルリスクプレミアムの算術平均値です。
グラグの1952年の値は、1951年末から2022年末までの算術平均値で8.65%となりました。 市場が100%以上上昇した1952年を除き、1952年末を開始年とすると7.12%となります。
計算期間が長期ほど標準誤差の範囲が小さくなり統計的な信頼性が高くなります。

グラフは当面非公開とします。

・算出期間:1952年~2022年末
・株式のリターン:JSRI算出の株式投資収益率、TOPIX配当込み指数から算出
・リスクフリーレート:国債統計年報、東証上場国債、公社債店頭価格等から算出した新発10年国債の最終利回り
 

2022年末の米国市場のヒストリカルリスクプレミアム

それぞれの開始年から2022年末までの米国の株式市場ヒストリカルリスクプレミアムの算術平均値です。
グラグの1872年の値は、1872年末から2022年末までの151年間の算術平均値で5.96%となりました。 計測期間を30年以上とれば、概ね5~7%の間に収まっています。
計算期間が長期ほど標準誤差の範囲が小さくなり統計的な信頼性が高くなります。

Chart by Visualizer

・算出期間:1872年~2022年末
・株式のリターン:S&P500
・リスクフリーレート:米国10年国債利回り
・データソース:https://www.multpl.com/ Standard & Poor’s

2022年末の海外市場のヒストリカルリスクプレミアム

MSCIを用いた先進国の各国と先進国平均(WORLD)、新興国平均(EMERGING)の市場リスクプレミアムです。
先進国では、おおむね5~10%程度のヒストリカル市場リスクプレミアムであることが分かります。
先進国の平均値であるMSCI-WORLDの20年以上の計測期間は、5~6%程度で安定しています。
MSCI-WORLDの1973~2022年までの40年間のリスクプレミアムは、5.26%となりました。

グラフは当面非公開とします。

・算出期間:1973年~2022年末(地域によってはそれ未満)
・計算方法:算術平均
・株式のリターン:MSCI トータルリターンローカル基準、ただし、WORLDとEMは米ドル基準
・リスクフリーレート:IMF、または、OECDの各国の長期国債レート、 WORLDとEMは米国レート
MSCIは、モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル社が算出・公表する指数の総称です。


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