ベータ値情報
上場全銘柄のヒストリカルベータ値、東証33業種分類で業種ベータ値を公開しています。
業種ベータ値は、業種指数のヒストリカルベータ値と、業種毎に個別銘柄ベータ値を平均したベータ値です。
個別銘柄ヒストリカルベータ
業種ベータ(指数ヒストリカル回帰)
業種ベータ(個別銘柄平均)
データは毎週土曜日に更新します。
ベータ値とは
市場指数と対象とする資産(個別銘柄や業種指数)の関係で、市場の動きによって資産がどの程度影響を受けるかを表す数値です。市場感応度とも言われます。
たとえば、ベータ値が1.2の銘柄は市場が1%上昇したときに平均的には1.2%上昇します。
企業価値推定における資本コストの算出や、ファンド運用におけるリスク管理指標として重要な数値です。
国内株式では通常、市場として配当込みTOPIXが使われています。グローバルではMSCI-Worldなどの指数が適しています。
ベータ値の求め方と定義
$$r_i – r_f = \beta_i(r_m – r_f) + \epsilon_i $$
\(\beta_i\):資産\(i\)のベータ値、 \(r_i\):資産\(i\)のリターン、\(r_m\):市場のリターン、
\(r_f\):リスクフリーレート、\(\epsilon_i \):資産\(i\)の固有リターン
ベータ値は一般的には過去のリターンデータを用いて回帰分析によって求めることができますが、どの期間で回帰分析を行うか、リターンは日次、週次、月次のどれを使うかはコンセンサスがありません。
単純な回帰分析から求めたヒストリカルベータ値は推定誤差が大きく、やみくもに信頼して使うべきではありません。個別銘柄ヒストリカルベータのページで見ても分かるように、時系列的にも安定していない銘柄が多くあります。
M&Aのおける投資銀行やコンサルの企業価値評価、コーポレートガバナンス報告書などでは、都合の良い数値が使われていることがあり、慎重に対応する必要があります。
それゆえ、投資家側の立場としての個別銘柄ベータ値推定は、単純なヒストリカルベータを用いるのでなく、計算期間や期種(月次、週次、日次)の平均をとる、業種ベータで代替とする、類似業界の複数の銘柄の平均値を用いる、などの手法が用いられています。
また、単純な回帰分析以外にも、sumベータ法、blume修正(bloomberg修正)、ベイジアン修正などの各種の修正手法があります。ファンダメンタルベータ等のベータ値の構造に踏み込んで推定する手法もあります。
ベータ値の構造
ベータ値を分解すると
$$\beta_i= \rho_{im}\frac{\sigma_i}{\sigma_m}$$
\(\rho_{im}\):資産\(i\)と市場の相関係数、\(\sigma_i\):資産\(i\)の標準偏差、\(\sigma_m\):市場の標準偏差
この式からわかるように、ベータ値は、資産と市場の相関係数が高い(同じような動きをする)ほど、資産の標準偏差(リスク)が大きいほどベータ値は高い数値となります。
ファンダメンタルベータとは、これらの相関係数や標準偏差をマルチファクターモデルと言われるものから算出してベータ値を計算しています。ただし、株式ポートフォリオの資産運用に用いられている機関投資家用の市販マルチファクターモデルは、半年程度の短期的な期間をターゲットとしていますので、企業価値推定のための資本コスト算出にはあまり適していません。